はじめに
犬と暮らしていくうえで欠かせないのが予防接種です。
ワクチンは愛犬を感染症から守るだけでなく、周囲の犬や人への感染を防ぐ役割もあります。
この記事では、犬の予防接種について、種類やスケジュール、費用の目安などをわかりやすくまとめました。
これから犬を迎える人や、ワクチンについてもっと知りたいと考えている人の役に立てたら嬉しいです。
犬の予防接種の種類と役割
犬の予防接種には大きく分けて「狂犬病ワクチン」と「混合ワクチン」があります。
狂犬病ワクチンは法律で定められていて、すべての飼い犬が毎年受けなければいけません。
混合ワクチンは任意ですが、犬の健康を守るためにとても大切です。
狂犬病は人にも感染する病気で、発症するとほとんど助からないと言われています。
そのため、日本では年に1回の接種が義務づけられています。
一方、混合ワクチンでは複数の病気を一度に予防できます。
主に予防できる病気は以下のとおりです。
- 犬ジステンパーウイルス感染症
- 犬パルボウイルス感染症
- 犬アデノウイルス感染症（伝染性肝炎・喉頭気管炎）
- 犬パラインフルエンザ
- 犬コロナウイルス感染症
- 犬レプトスピラ症（まれに人にも感染することがあります）
これらの病気は重症化しやすく、命に関わることもあります。
だからこそ、混合ワクチンの接種は、犬の健康を守るためにとても大切なんですね。
予防接種を受けないことのデメリット
予防接種を受けていないと、思わぬところで困ることがあります。
たとえば、こんな場面です。
- トリミングサロンで断られることがある
多くのサロンでは、感染症予防のためにワクチン接種証明の提示を求められます。
予防接種をしていないと他の犬への感染リスクがあるため、サービスを受けられないことがあります。 - ペットホテルや一時預かりを利用できない
旅行や出張などで預けたいときも、ワクチン未接種だと受け入れてもらえないケースがほとんどです。
急な用事のときに預け先が見つからないと、とても困ってしまいますよね。 - ドッグランなどの公共施設が利用できないことも
他の犬とふれあう場所では、感染防止の観点から接種証明の提示が求められることがあります。 - 病気にかかった場合、重症化しやすい
予防接種をしていないと、感染症にかかりやすくなるだけでなく、症状が重くなってしまうことも。
治療には時間もお金もかかり、愛犬にもつらい思いをさせてしまうかもしれません。
愛犬との暮らしを安心して楽しむためにも、予防接種はとても大切な備えのひとつです。
「何もないとき」にこそしておきたいケアですね。
子犬・成犬のワクチン接種スケジュール
ワクチンをいつ打つかは、犬の年齢や体調によって少しずつ変わってきます。
特に子犬の時期は、まだ免疫力が弱いので、計画的な接種がとても大切です。
子犬の場合
- 混合ワクチンは、生後6〜8週ごろに1回目を接種します。
その後、3〜4週間おきに2回目、3回目と続けて、だいたい生後16週までに終わらせます。 - 狂犬病ワクチンは、生後91日（約13週）以降に1回目を接種します。
混合ワクチンの最終回から3週間以上あけるのが目安です。
成犬の場合
- 狂犬病ワクチンは年に1回、必ず受ける必要があります。
- 混合ワクチンは、毎年接種します。
生活環境や体調に合わせて、獣医師と相談しながら決めましょう。
シニア犬の場合
- 狂犬病ワクチンは、年に1回の接種が必要です。
- 混合ワクチンは、年齢や健康状態に応じて接種間隔を調整します。
無理のないスケジュールを、かかりつけの先生と一緒に考えると安心です。
犬の健康状態や、地域の感染状況によっても接種のタイミングは変わることがあります。
いつ、どんなワクチンを打つかは、信頼できる動物病院で相談して決めると安心です。
混合ワクチンの種類と選び方
混合ワクチンには、さまざまなタイプがあります。
どのワクチンを選ぶかは、犬の暮らし方や感染リスクによって変わってきます。
以下に、主な種類と予防できる病気、どんな犬におすすめかをまとめてみました。
| ワクチンの種類 | 予防できる病気 | こんな犬におすすめ |
|---|---|---|
| 5種 | ジステンパー、パルボ、アデノウイルス1型・2型、パラインフルエンザ | 完全室内飼いで、他の犬と接触が少ない子 |
| 6種 | 上記＋コロナウイルス感染症 | 室内飼いで、シニア犬やアレルギー体質の子 |
| 7〜8種 | 上記＋レプトスピラ症 | お散歩が多い子や、アウトドアが好きな子 |
| 10〜11種 | 上記＋レプトスピラ症の別タイプ | 自然の多い場所や水辺によく行く子、多くの動物と接触がある子 |
レプトスピラ症は、人にもうつることがある感染症です。
山や川、公園などで遊ぶ機会が多い子には、8種以上のワクチンが安心かもしれません。
一方で、室内で暮らしていて、他の犬との接触がほとんどない子には、5種や6種のワクチンでも十分な場合があります。
どの種類がその子に合っているかは、獣医師としっかり相談しながら決めていきましょう。
それぞれの子のライフスタイルに合わせた選び方が大切です。
ワクチン接種の費用目安
犬の予防接種にかかる費用は、ワクチンの種類や動物病院によって異なります。
だいたいの目安を知っておくと、計画もしやすくなりますよ。
狂犬病ワクチンの費用
- 自治体による集団接種：3,000円前後＋注射済票の手数料
- 動物病院での接種：3,000〜4,000円ほどが一般的です
- 初診料や登録料が別にかかることもあります
混合ワクチンの費用
| ワクチンの種類 | 1回あたりの費用目安 |
|---|---|
| 2〜3種 | 3,000〜5,000円 |
| 4〜6種 | 5,000〜8,000円 |
| 8種 | 6,000〜9,000円 |
| 10〜11種 | 8,000〜12,000円 |
動物病院によっては、初診料や診察料が加算される場合もあります。
事前にホームページをチェックしたり、電話で確認しておくと安心です。
また、ワクチン接種はペット保険の補償対象外になっていることが多いので、費用は自己負担になる場合がほとんどです。
必要な予算をあらかじめ考えておくと、落ち着いて準備ができます。
ワクチン接種時の注意点と副作用
ワクチンは犬の健康を守る大切な手段ですが、まれに副作用が出ることもあります。
安心して接種を受けるために、いくつかの注意点を知っておくと役立ちます。
接種前に気をつけたいこと
- 元気があるときに接種するのが基本です
- 以前にアレルギー反応があった場合は、必ず獣医師に伝えましょう
- 子犬の場合は、獣医師とよく相談しましょう。
接種後に見られる副作用
- 元気がなくなったり、軽い発熱、食欲が落ちることがあります
- 顔が腫れたり、吐いたり、下痢をするなどのアレルギー反応が出ることもあります
- ごくまれに、重いアナフィラキシーショックになることもあるため、様子に変化があればすぐに動物病院へ連絡しましょう
副作用が心配なときは、接種してから何かあればすぐ病院に行けるように、スケジュールをあけておくのがおすすめです。
接種後ゆっくり休ませて、体調に変化がないかよく観察してあげましょう。
まとめ
犬の予防接種は、愛犬の健康を守るだけでなく、まわりの犬や人への感染を防ぐ大切な役割もあります。
狂犬病ワクチンは法律で義務づけられていて、混合ワクチンもさまざまな病気から愛犬を守るために強くすすめられています。
ワクチンを受けておくことで、重い病気にかかるリスクをぐんと減らすことができます。
治療費や入院の負担がかかる前に、予防しておけるのは大きな安心につながりますよね。
また、他の犬とのふれあいの場でも心配が少なくなり、お散歩や旅行などをもっと楽しめるようになります。
いつ、どのワクチンを打つかは、その子の年齢や体調、暮らし方によって変わってきます。
かかりつけの動物病院と相談しながら、無理のないスケジュールを立てていけると安心ですね。
ワクチンによる副作用のことも知っておけば、いざというときに冷静に対応できます。
大切な家族の一員である犬と、元気に長く暮らしていくために、ワクチンについての知識を少しずつ深めていきましょう。
